この記事を書いているのは2024年5月
仕事は落ち着いているのですが、どこか登山をする気にはなれない不思議な気持ちのだいたいいろです。
仕事が忙しい中でもちゃんと登山をしていたのが2023年の5月。
2023年5月序盤には鳳凰三山を周遊しました。 uniquepic.hatenablog.com
同じ月の後半、なんと今後は白馬三山を周遊していたようです。
驚きとともにどんな登山になったかを少し振り返ってみました。
■ 白馬岳とは?
弊ブログ2回目の登場となります。
読み方はしろうまだけ。
標高は2932m。
誰しも名前は聞いたことがある有名なお山です。
栂池ロープウェイを利用した稜線ルートを堪能したのが前回。
uniquepic.hatenablog.com
今回は裏口にあたる猿倉荘から登るルートを選択しました。
猿倉荘側から登る場合、絶対に避けて通れないのが白馬が誇る大雪渓。
夏でも雪が残ることから積雪量の多さは感じ取れるかと。
そんな大雪渓を乗り越えた先には以下のような景色が待っていました。
■ 待ち構えるは大雪渓!
今回のスタート地点は猿倉駐車場。
100台くらいは余裕で止められそうな広い駐車場です。
駐車場から10分ほど歩くと見えてくるのが猿倉荘です。
本当のスタート地点はここ。
猿倉荘脇にある登山道を進んでいきます。
スタート地点の標高は約1200m、生きのいい緑色がお出迎えです。
猿倉荘から白馬岳山頂までの距離は約6km。
そこまで離れてないためか登山開始約30分で白馬岳の姿を拝むことができます。
まだまだ山頂付近は白いですね。
雪の多さはそのまま雪解け水の多さに繋がります。
当たり前ですけど水がクッソ冷たくて気持ちいいです。
手洗い推奨です!
登山道は木々が頭を覆わないオープンタイプ。
初夏の日差しが気持ちいいし、白馬岳がずっと見えて景色もよく、足取りは自然と軽やかです。
ちょっとした橋を乗り越えたりもします。
今が一番水量多いんだろうなぁ・・・水の躍動感が半端ないです。
登山開始から約1時間ほどで溶け残った雪たちが登山道にはみ出してきます。
そしたらすぐに始まるのが・・・大雪渓ッ!!!
この日同行していたdocさんと
「たぶんここだけっすよね」
「すぐに雪なくなるでしょ」
みたいな会話を交わしますが・・・
そんなことはありませんでした!
ここからずっと雪の上!
約5時間!!
ずっと雪の上を歩くことになります!!!
圧倒されるまでの雪の量が待っているので素直にアイゼン付けて登りましょう。
ちらっと見えていたこの建物なんでしょう?
白馬尻小屋の一部でしょうか?
歩いても歩いても雪・・・
正面の斜面に点がたくさん見えますね、そう、それ人ですから(
人の大きさから距離の長さが分かりますね・・・
振り返っての1枚。
雪の溜まっている地形ということがよくわかります。
そこで気になるのが照り返し。
空から降ってきた紫外線が雪に反射し360度からだいたいいろ達を焼いてきます。
めっちゃ・・・めっちゃ・・・暑い!!!
見た目は寒いのに実際暑いとかやめてくださいよ。
日焼け止め塗っても普通に焼けるので気になる方は長袖推奨です。
登っても登っても着かねぇ・・・
本当に疲れたぜ・・・
という叫びが聞こえてきそうな背中です。
だいたいいろも同じ気持ちなので黙々と背中を追いました。
雪渓に苦しむこと約1時間。
傾斜は一旦落ち着きます。
しばらくは緩やかな水平移動。
先に見える小さな点は人と岩。
大雪渓は割と落石が多いポイントのようで、そこかしこに落石がありました。
雪の上を転がってくる落石は音がしないので本当に怖いです。
ヘルメットその他で防備は固めていますが、落ちてくる落ちてこないは運の部分もあります。
当たりませんように!そんな思いで足を進めていきます。
水平移動しているタイミングで周りにはガスが下りてきました。
雲が下りてきたというより雪が蒸発して雲になったのかな?
そんなことを考えながらの登山です。
前を向けば新小岩を歩くサラリーマンと同じくらい疲れた背中。
まったく同じ気持ちなので黙ってついていきます 。
雪渓に取り付いてから約2時間、登山開始から約3時間。
平坦な部分は終わり、道は再びの急登に入ります。
ここ登り切ると白馬山荘に着くかなーなどと思いますが・・・
安心してください、まだ終わりではないです。
この世界は甘くない!
追いつめて、追いつめられて・・・そんな場所で生きてるんだ!
みたいに心の中の誰かと戦ってストレスをオフロードさせます。
振り返っての1枚。
大雪渓の取り付き部分が遠くに見えます。
それなりの高さを登ったとも、まだこれだけなのかとも思います。
進行方向の逆側にはある無名峰。
形がどことなくミドナの冠に似てる
登っても登っても雪渓の終わりが見えない・・・
真っ白な雪の中にいますがまるで砂漠を歩いているよう・・・
一歩が重たい・・・
急登を登り始めてから約1時間、まだまだ雪に埋もれた避難小屋に到着。
雪の上を歩くと体力の消費量が異常に多いんですよね。
さすがにここで一息いれたいと思います。
こちらが進行方向。
白馬岳に近づいているはずですが姿は見えず・・・
白馬山荘はおろか、手前にあるはずの村営頂上宿舎もまだ見えてない。
大雪渓の大の部分がどれだけ大きいかを感じずにはいられないです。
進行方向逆側には尖った無名のお山。
山としての知名度は白馬岳がダントツ高い気がしますが、山の格好良さとしてはこちらが上ではないでしょうか。
10分ほど休憩してからの再スタート。
なんと驚くことに・・・ここにきて待っているのが急登・・・
白馬岳はこの向こう側!!! これを登らないと姿を見ることさえできない・・・
白馬岳はヒドイ。鬼。悪魔。そういうところが・・・すき・・・とはなりませんよね!
標高も2000を越えていることもありみなさん息も絶え絶えです。
もちろんだいたいいろも死にそうな顔してます(
少しずつ、少しずつ、1分歩いて3分休むくらいのペースで確実に足を進めていきます。
急登に挑み始めてから約30分・・・
人工物が・・・見えた!
村営宿舎だ!あれを過ぎればゴールはすぐそこ!
早く登りたい!と思いますが、いかんせん傾斜は急。
建物の影が見えてからたっぷり20分かかりました・・・
北アの小屋は見えてからがなげーのよ。
登山開始から約4時間半で村営頂上宿舎さんに到着です!
ということは西側を見れば白馬山荘が・・・見えねーのかよ!!!
村営頂上宿舎さんの方が標高が少しだけ低いです。
もう一登り、10分程度の登りが必要です。
村営頂上宿舎さんは小屋明けに向けた準備中の模様。
今回含めて白馬山荘は2回泊まっているので、頂上宿舎さんにも泊まってみたいです。
雪渓を登り切ると視界が広がります。
まずは杓子岳に向けた稜線。
白馬岳の隣にそびえるのは旭岳。
5月後半とは思えない雪の量。後立山連峰の降雪量を物語ってます。
こちらは立山方面かな
そしてこちらが白馬山荘さん・・・
やっと・・・やっと休憩できるぞ・・・!
登山開始から約5時間
白馬山荘さんに到着ですッ!!!
もう一歩も動かないぞ!という熱い思いで受付を済ませます。
ちなみに白馬山荘さんは広いので受付と実際に泊まる部屋は割と離れてます。
受付をするために一旦下した荷物を背負うとなぜか重さが1.5倍に感じられます。
受付も済まして荷物も置いて1日が終わったと思った時に気が付きました・・・
白馬岳の山頂回収してない!!!
大事なことを忘れてるあたりにだいたいいろの地頭の悪さが滲みでてます。
ということでアタックザックに防寒具だけを詰め込んで山頂へ向かいます。
幸いなことに白馬山荘さんから白馬岳山頂までは約10分の距離。
大したことない距離でよかった・・・これが頂上宿舎だったら約20分の距離・・・即死だったな・・・
山頂までの登山道は雪はほぼなく、夏道が完全に露出しています。
小さめの岩が多いガレ場ながら、歩きにくさはなし。
足取り軽く山頂へ向かいます。
白馬山荘さんの立地のよさが分かる1枚がこちら。
山荘の前に遮る山がないので北アルプスが一望できます。
予定通り10分で山頂に到着。
大雪渓の長さに比べると非常にあっさり、多少の物足りなさを覚えるレベルです。
まずは白馬大池方面。
あいかわらず歩きたい気持ちにさせてくれる稜線してますね
14時を過ぎていることもあり雲が増えてきました。
大雪渓は雲の中に沈んだようです。
たぶんまだ大雪渓を歩いている人はいると思う。
山頂付近は晴れてるから絶望せずに登っておいで、と心の中で声をかけておきました。
杓子岳と鑓ヶ岳方面。
緩やかなアップダウンが続く白馬大池方面とはまったく雰囲気が異なります。
しっかりとした登り返しが2回・・・これは・・・歩き甲斐がありそう
槍にグッと寄った1枚。
斜めに当たる光がコントラストを強く、そして槍自体も強く表現してくれてます。
そうこうしてる間に晩御飯の時間です。
だいたいいろ「晩御飯なんですかね。北アだからハンバーグですかね」
docさん「まだ冬だからカレーでしょ。冬の定番」
みたいな会話してたらまさかのハンバーグカレー
二人とも当たってないけど外れてもいないという中途半端な状況に渇いた笑いが隠せなかったです。
食べ終わるとちょうど夕日の時間です。
やることもないので再び山頂へ。
夕日の色って穏やかでよいですよね。
稜線に少し乗った雲が綺麗です。
白馬大池方面への稜線。
夕日の時間に眺めると完全に影になっちゃうので日の出の時間に見たいです。
白馬大池方面へもう少し進んでみたいと思います
真ん中に見えるのが雪倉岳、その先は・・・もしかして日本海?
斜面が棚田みたいになってて美しい。
何を撮っても絵になるいい時間帯です。
旭岳から登るような飛行機雲
険しい印象が強い槍ですが、夕日のせいか少し穏やかに見えます。
色がとにかく綺麗なんだよなぁ・・・
よく晴れてよき登山が出来た1日でした
■ 白馬三山を周る!
時刻は4時半。
杓子岳へ向かう途中で日の出を迎えます。
やめておけばいいのに白馬三山を周遊して下山しようという下心を出した結果、4時前に山荘を出た形となります。
まず向かうは杓子岳、そのまま隣り合う鑓ヶ岳を越え、そこから雪渓側へ下山を開始。
白馬鑓温泉を経由してから、登山を開始した猿倉荘に向かうルートになります。
合計コースタイムが8時間と下山日にしてはややハード目なのが気がかりですが、なんとか無事に下山したいところです。
さすがに日の出前。進行方向は日の出とは逆方向なのでまだ暗いです。
4時40分に杓子岳山頂に到着。
暗かったため写真はほぼなしですが特に難しいところのないよい登山道だったと思います。
杓子岳からは白馬岳の横っツラを拝むことができます。
稜線が繋がってしまうため穏やかに見える栂池ルートとは違い、こちらは本来の荒々しい姿を拝むことができます。
白馬大池の向こう側から太陽が上がってきます。
少し雲が多いせいか綺麗なモルゲンにはならず・・・ッ!
綺麗だからヨシ!とします。
杓子岳から鑓ヶ岳へ続く稜線。
今からこの道を歩いて鑓ヶ岳へ向かいます!
杓子岳の標高は約2800m、画面中央の鞍部まで約100m標高を下げたのち、一気に2900mまで上げる強気なコースです。
ガレというよりザレ、細かな石が多く少し滑りやすいですが難しい部分もなく歩きやすい道だと思います。
10分ほどで最低鞍部に到着・・・近くで見上げるとやっぱ高いのね・・・
力が逃げやすいタイプの道です。
確実に足を進めていきましょう。
後ろを振り返っての1枚。
白馬と杓子が1枚にまとまるいいポイントです。
確かに標高は上げますが傾斜自体は非常に緩やかで気持ちよく歩けます。
杓子岳山頂から約1時間で見えてくるのが・・・
鑓ヶ岳山頂です!
人はいつだって単純明快。
苦労して登ってよかったと思わせる景色、
展望の良さは白馬三山で一番上かもしれないです。
正面に伸びる道は天狗平、そのまま唐松岳まで続きます。
こちらは杓子と白馬。
よく歩いてきたなぁ・・・
時刻は6時前ですが朝日がまだまだ綺麗です
杓子岳に寄った1枚。
白馬岳といい西側にストンと切り落ちた地形になっているのは何か理由があるんですかね?
この舞台も終幕に向かいます。
登るところも登ったのでいざ下山開始です!
鑓ヶ岳を越えてからの目標は白馬鑓温泉小屋。
左端の高いところまで行くように見えますが真ん中手前で雪渓側に下りていきます。
あっさり分岐に到着。ためらわずに左側へ!
ガイドも少なく道はいささか不明瞭です。
見た目だけではなくGPS地図も活用して下りていかないと・・・
分岐を越えてから約30分。
世界は再び白に染まります。
正面に遮るものがないので高度感はありますが、あくまで見た目だけです。
緩やかに下っているので怖さみたいなのは全然ありません。
分岐から1時間半ほど下りてくると・・・見えてくるのが解体中の白馬鑓温泉小屋。
温泉に浸かっている方もいらっしゃったのでアップの撮影はなし。
温泉に浸かりたくなる光景が広がっていた・・・とだけは書いておきます
そんな人達を横目にだいたいいろ達も休憩します。
なんだかんで4時間近く行動してるので、さすがに疲労を感じます。
恐ろしいことに下山口である猿倉荘までの残りコースタイムは4時間。
まだ半分なんですねぇ・・・
その残り半分を回収していきましょう。
景色に大きな変化はなく、見飽きた雪渓を黙々と下りていきます。
ずっと下りていくというわけではなく、白馬鑓温泉小屋から15分程度下りたところでいったん左に曲がります。
これといった目標がない場所、そこは地図を見ながらポイントを外さないよう注意です。
通りすぎるとツラい登り返しが待ってます。
落石跡が多いところは足早に駆け抜けます。
先を行く登山者さんの大きさから雪渓の大きさを感じ取ってほしいです。
トラバースが続きます。
一部地面がむき出しの部分もあるため気を使います。
トラバースの終了ポイントで一気に標高を落とします。
先行パーティーさんは背面で下りてましたが、我々は正面向いて下りていきました。
嫌らしいのがこの先にある登り返し。
正真正銘ここが最後の登り返しになります。
この時点で行動開始から約5時間半。
疲労が色濃く体に現れてきます。
ここを乗り越えてあとは下るだけってことを確認したら休憩しましょう・・・
と二人で声をかけながら登ります。
登り返しは約20分ほどかかります。
その先は本当に下りのみ!
少し休憩してから下山再開です。
Ending is close at hand!(終わりは近いぞ!の意)
コースタイム上ではあと1時間半下れば終わりです!
だいぶ下りてきた感じがありますが、雪渓はまだ続きます。
登りで使った大雪渓より、こちら側の方が雪渓としては広いのでは・・・
登り返し地点から約30分ほど下ると傾斜はなくなります。
傾斜がなくなるとゴールは間近。
ついに足元から雪がなくなります!
そして樹林帯を抜けると・・・猿倉荘に到着!
約19kmの長い登山がようやく終わりを迎えました・・・
■ さいごに
大雪渓から登り、白馬三山をぐるりと回るルートはいかがでしたか?
GW直後というタイミングは雪がまだまだ豊富でした。
とにかく雪の上にいる時間が長いので挑戦するなら日焼け対策は必須!
下山後に確認したところ、肌が露出してた部分は5月とは思えないくらい真っ黒に焼けていました。
登りも下りも終わらない雪渓に心は折れてしまいましたが、登り切った後の景色をその苦労に見合う価値がありました。 白馬岳山頂は言わずもがな、杓子岳、鑓ヶ岳からの景色も絶品。
もう少し雪の少ないシーズンならぜひ歩いて欲しいとオススメできるよい登山となりました。