■ 西穂高岳とは
北アルプスに属する標高2909mのお山。
弊ブログ2回目の登場です。 uniquepic.hatenablog.com
細かい情報は前回記事をご参照ください。
前回の挑戦は3月の残雪期。
ちょっと季節を変えてということで厳冬期にあたる2月に挑戦してきました。
■ 体を慣らす
スタート地点はおなじみの新穂高ロープウェイ。
快晴の予報を信じて車を走らせてきたのにこの有様です(
まあでも山頂付近は晴れてるでしょ、という前向きな気持ちでロープウェイ乗り場へ。
到着時刻は前回と同じですが、建物外まではみ出るような列はなし。
建物内の乗り場で少し列があった程度です。
朝9時の始発に乗り込み・・・
慣れた感じで第二ロープウェイ乗り場へ行き・・・
ロープウェイに乗り込むと・・・
西穂高口駅に到着!予想通りの快晴です!!!
雲は下層のみだった模様。
無駄に早く命をすり減らす必要もないなと思い、めずらしく足を止めて景色なんか眺めたりします。
ロープウェイ越しに見える山は笠ヶ岳。
そしてこちらが今から登る西穂高岳。
のこぎり状になった峰の数は13、真ん中やや左の一段高い峰が主峰です。
尖り尖った主峰とは正反対にだれけたにしほくんの姿が・・・
はぐれメタル感あるので軽く倒して経験値を稼いでおきましょう(
展望台から少し外れると全貌が確認できるスポットあり。
誤差数分なので絶対に寄っていきましょう。
埋もれて見落としてしまいそうな登山道への看板を通りすぎ、いざ西穂山荘へ!
西穂高岳までの登山道で樹林帯を歩くのはほんの1時間程度。
南アルプスのように深い森というわけではないので、快晴の日は気持ちのいい斜光が落ちてくる道を歩くことができます。
登山道に足を踏み入れてから約30分、勾配が少し強くなります。
その勾配を乗り越えたら見えてくるのが・・・
西穂山荘です!
とりあえず受付を済まし、そのまま小休止へ。
山荘到着時点で天気予報を確認したところ、なんと翌朝は快晴予報!
それなら稜線が綺麗な部分でモルゲン迎えたいよねということで、今日の山頂アタックはとりやめにしました。
有り余る時間を使ってやることと言えば・・・そう食事です!
西穂山荘はラーメンが有名ですが、そこはオタクのサガが爆発・・・
あえてマイナー路線のカレーを頂きます!
冷えた体にこのちょっとした辛さが沁みる・・・ッ!
■ 独標を楽しむ
その後、少し昼寝やら読書やらで時間を過ごし、時計を見ると15時前。
今から独標まで登れば綺麗な夕焼け見れるんじゃね?ということで準備運動を兼ねて独標へ足を向けます。
新しく買ったピッケルも試せてなかったのでちょうどいいかなということろ。
山荘前の勾配を少し登って振り返るとそこには乗鞍岳。
いつも横を通り抜けるのに登ったことはない不思議なお山。
こちらは笠ヶ岳
本日の目標たる独標までの道のりはこちら。
丸山を越えるまではゆるやかな稜線歩きが続きます。
西穂山荘さんを出てから約10分、丸山を通過します。
このあたりでも十分絶景なんだよなぁ・・・
丸山までなら難所らしい難所はないので是非登っていただきたいところです
東側に見えるのは霞沢岳。
冬も登れるらしいですが、まずは夏山で挑戦したい。
丸山から先、勾配は少し急になります。
登りは高さも感じないため全然問題にならないかなー
西穂山荘さんを出てから約30分、独標の標識が確認できる距離まで近づいてきました。
この辺りからは先は勾配も急、岩が露出してる部分もあるので足元注意で!
独標直前は岩と雪のミックス帯な上に、コースが非常に読みにくいところです。
トレースを辿りつつ、なるべく右側へ寄るようにコースを取っていきましょう。
振り返って山頂取り付き直前の小ピークの収めた1枚。
岩の上を歩くことになるので意外と気を使います。
独標へ取り付き、右側へ寄っていくと鎖場があります。
その鎖場を越えると・・・最後の難関、垂直登攀の始まりです!
新調したピッケル君の出番です。
ピッケル、両足のアイゼンによる三点支持を意識して少しずつ標高を上げていきます。
垂直登攀する距離はそこまで長くないです。
気が付くと目の前には独標の標識が・・・!
無事に登ることができたようです。
ここから先は明日の朝のお楽しみ。
新しいピッケルの軽さ・取り回しのよさが確認できたのはよい収穫でした。
独標まで登ってしまうと上高地が見下ろせます。
低層の雲がまったく溜まってないのであちらからも綺麗な山体が拝めているのかな。
上高地側とは逆にロープウェイにはしっかりとした雲。
だいたいいろ達がいる西穂高から焼岳へ続く稜線が雲を遮っているようです。
霞沢岳を収めるなら独標から見るのが一番綺麗かもしれないです。
稜線を少し見下ろす形になり、後方に控える名山も一緒に眺めることができます。
乗鞍はあいかわらず真っ白ですねー
笠ヶ岳はまだ目線より上にいます。
どっしりと構えた山体のためか雪は多め、特徴的な縞模様もさすがに見えません。
下層の雲が上がってこないのは上層側の空気が冷えてきてるからかな・・・
このあたりの条件を抑えることができれば、登山をもっと楽しめるような気がします。
まだ体力は全然余裕があるのですが、お夕飯の時間が迫っています。
17時30分に戻れるよう独標を後にします。
下りの方が高さを感じて怖いですね・・・
登りよりも時間と慎重さをかけてゆっくりと下りていきます。
5分ほどで足場のある場所に到着。
ここから先も、しばらくはミックス帯を戻ることになるので油断できない。
本当の山頂を踏んでいるわけではないのですが、気が抜けない部分が多い・・・
時刻は17時前、夕日に照らされ岩の凹凸がはっきりと出ておりより怖さが際立ちます。
ふと谷側を除いてみました。
一度滑り出したら止まるポイントがないですね・・・
下山路は綺麗なオレンジ色に染まっています。
笠ヶ岳が大きな影を作っています。
その堂々たる姿はまるで戦艦のようです。
笠ヶ岳とは反対側にある霞沢岳。
西穂一帯から見て東側にあるため綺麗なモルゲンロートを見ることができます。
17時を過ぎると夕日も終盤
丸山付近は緩やかな稜線が続くので色の付き方が滑らかです。
丸山を越えてしまえばあとは怖いポイントはなし。
西穂山頂方面の1枚。
こちらは乗鞍方面。
雪山と夕日って相性いいですよね
そんなことを考えていると西穂山荘に到着。
そのまま流れるようにお夕飯をいただきました。
■ 山頂に挑む
時刻は朝4時
山頂よりもピラミッドピークを越えたあたりの稜線で日の出を迎えるのが一番景色が美しいと判断し、少し遅めの出発にします。
まだまだ周囲は暗く、写真を取ることもできないためもくもくと山頂へ足を進めます。
一度登っている山とはいえ今回は早朝。登山道はまだ固く、アイゼンの効きの悪さに少し怖さを覚えます。
立ち征くんだろう、魂を賭すように・・・
10分ほどで丸山を通過
そのまま足を止めることなく進み、西穂山荘を出てから約1時間で独標も通過。
辺りはまだ暗いので写真はありませんが、独標への登り、山頂側への下りは少し気を使う場面もあります。
痩せた尾根を進むこと約1時間、狂おしいほど冀った太陽の光が稜線を照らし始めます。
場所はピラミッドピークを過ぎたあたり、山頂まではあと少しの場所。
ノコギリのような形が美しい稜線と朝日を絡めたいなーということから、この場所で日の出を待つことにします。
これが私だ!と叫んでるかのような特徴的なポイント、ノコギリというより恐竜の背中みたいですよね。
奥穂から前穂にかかる稜線があるため太陽の光が届くのはちょっと遅めです。
オレンジ色の雲をまとまった乗鞍が見えますねー
ようやく太陽が前穂を越えたのか山頂にも光が差してきます。
停滞している間に体が冷えたので早く全身で太陽の光を浴びたいです
割と適当に撮影しても絵になるのはちょっと困りもの。
何が撮りたかったのかよくわからんけど、なんかいいみたいな写真が量産されていました。
恐竜の背中もモルゲンに染まっており、氷河期の終わりを感じさせます。
30分ほど停滞して撮影を続けていたため体の冷えはかなりのもの。
まだまだモルゲンロートが綺麗な時間帯ですが、体を温めなおす意味も含めて歩みを再開します。
太陽が登ったということで登山道の写真もとれるようになりました。
西穂山荘を越えてからはずっと岩場と雪のミックス帯が続いていますが、山頂に近づくほど難易度は上がっていく気がします。
絶対に登ってやる、それを決意というんだろう、などと思いながらいざ山頂へ!
この雪庇の向こう側は崖・・・
登ってきた方向を振り返っての1枚。
登っている時はなんとも思わないのですが、通り過ぎてしまうと「あーこんな場所歩いてたのかーこわー」となります。
さていよいよ山頂直下の直登部分に差し掛かります。
ピッケルとアイゼンをしっかり使い三点支持を意識して登ります。
さすがに怖いなーと思いますが目を逸らさず、深淵と向かいあうように少しずつ登っていきます。
命で剣を取り雪壁と格闘すること約5分、ついに西穂山頂へ到着です!
朝日がまだまだ気持ちのいい時間である7時過ぎの登頂。
ジャンダルムから奥穂へかかる稜線にあたる光が美しい。
太陽が登ったとはいえ上層の空気はまだまだ冷たいようで雲はまだあがってこれないようです。
乗鞍まで遮るものなしです。
冬とはいえ尖った山体を持つ槍ヶ岳に雪はまとわりつきません
稜線だけに光が乗っている霞沢岳。
まだ光があたらない上高地側とのコントラストが綺麗ですね。
乗鞍にグッと寄った1枚。
まだ日が登り切っていない時間でも山体が広いおかげで太陽の光が綺麗に回ってますね。
山頂で日の出を迎えると気持ちよさそうだなー
谷間にある上高地にはまだ太陽が届かないようです。
これで全方位を見まわしたかなー
山頂を全天周囲で楽しんだところで下山を開始したいと思います!
無謀な夢想を勇気に変えて、この垂直の雪壁を下りていきたいと思います!
5分程度で無事下降完了です。 恐竜の背中を辿っていきます!
改めて見ると急な斜面ですね。
雪が柔らかい箇所なので滑ることはないですが怖いものは怖いです。
どこ歩いてきたのかわからんなー。道と言えない道をよく歩いてきたもんだよ。
太陽もだいぶ高くなってきました。
歩くたびに軽く舞い上がる雪が美しい。
向かって右側が登山道。
まだ太陽は当たっていないので雪も腐らず歩きやすそう。
朝日を迎えたポイントを通過。
左側に落ちたら止まらないなぁ・・・
気温が上がってきたのか霞沢岳の向こう側に雲が・・・
右側に落ちても止まらないですね。
全体的に恐ろしい道が続くのですが、ピラミッドピーク前後はやはり緊張します。
一人分の幅もないようなナイフリッジ。
歩いている時はそこまで気になりませんが、外野から見るとやはり狭い・・・
ピラミッドピークは形でいうなら綺麗な二等辺三角形。
一歩ずつ確実に登っていきましょう。
無事にピラミッドピークを通過
その後すぐに標高をグッと下げると・・・
独標への登りが待っています。
足場や手を置く場所が多く、バランスを取ることは難しくなく割とあっさりと登れます。
独標まで無事に戻ってきました。
山頂方面には雲。
登山の基本である早出早着を守ってよかったようです(なお早すぎる
残る難所は独標直下の下りのみ。
ここまで来たら五体満足で帰りたいので確実に降りていきます。
昨日、独標から下りる時は気を付けて!と思っていましたが、山頂までの稜線と比べると全然怖くないです。
この慣れが出ている状態が一番危険かもしれないな・・・
集中力も切れてきた頭では「ココアでも飲んで体温めたいなー」くらいしか考えられない状態でしたが、無事に西穂山荘さんに到着。
デポしていた荷物を回収するついでお汁粉をひと啜り。
なんでココアにしなかったのかは私の中でも謎です(
体が少し温まって余裕が出てきたのか、今度はお風呂に入りたいなーとか考えながら樹林帯を下っていきます。
西穂山荘さんから約30分ほどでロープウェイに到着。
今年度の西穂登山を無事に完了することができました。
■ さいごに・・・
2回目の登頂となりましたが、前回と変わらず命を剣とするような登山になりました。
丸山まではとても優しい姿をしているのに、独標手前からとても厳しくなる・・・
しかもその厳しさが命を懸けるレベルなのがとても面白い(
一人分の幅もないような稜線を歩くのは確かに肝が冷えます。
ただ冷やした分、山頂に登れた時の達成感は本物です。
これが私だ!と心から叫びたい気持ちなりました。
自分こそを切り札として、命を剣にする挑戦してよかったな・・・
朝焼けを狙ったナイトハイクも上手くこなせだけでなく、快晴の中での登頂。
山頂で見た白と青の世界、忘れることはないと思います。
満足できる登山となりました。