何ができるだろう?
なんでも出来るって信じていいのだろうか?
そんなことを思いながら仕事を進めているだいたいいろです。
仕事はがんばりたくないので趣味くらいはがんばってもいいよね?
ということで、今期の冬の総決算として勇気を振り絞って西穂高岳へと挑戦してきました。
■ 西穂高岳とは
北アルプスに属する標高2909mのお山。
登山を嗜んでいると嫌でも名前を聞くことになる穂高連峰の一座です。
途中に山小屋もあり、山小屋から山頂までの往復行動時間は約4時間半と見た目のアクセスは良好。
なんですが・・・小屋から先は大小さまざま峰と岩場が待ち受けている高難度地帯として有名です。
西穂高岳へのルートは大きく分けて3つ。
今回は一番難易度が低いロープウェイルートを選択。
難易度が低いとはいえ西穂高は西穂高。
そんなロープウェイルート、残雪期はどんな感じだったのか・・・
だいたいいろ達はどんな結末を迎えたのか・・・
少しまとめてみました。
■ まずは西穂山荘を目指す
時刻は8時過ぎ。
新穂高ロープウェイの駐車場からスタートです!
中央左側が奥穂、右が本日の目的地である西穂高が見えてます。
見えてるから近い近いといい聞かせ、まずはロープウェイ乗り場に向かいましょう。
5分も歩かないでロープウェイ駅に到着。
冬の始発は9時。
始発30分前にはこの行列・・・これは登山道渋滞するなーと思いながら最後尾につけます。
ちなみにだいたいいろたちは始発の本当に最後尾でした。
後光が差す感じの第一ロープウェイに乗り込み・・・
第二ロープウェイ駅に到着し・・・
二階建ての第二ロープウェイに揺られること約20分。
あの世のスタート地点と名高い西穂高口駅に到着です!
ここが天国か・・・やっぱいい景色してるなー
怖いなら登らなきゃいいのに・・・と思うのですが、不思議と足は山荘方面に伸びていきます。
最初の10分は雪壁の間を進んでいきます。
この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ
と言われてる気がします(盛大な気のせい
雪壁を抜けるとしばらくは樹林帯を進みます。
標高をジリジリと上げ、また少し下げる・・・みたいな道が続きます。
快晴に恵まれた登山日・・・森の中に気持ちのいい光が落ちてきますね。
登山口から歩くこと約20分。
少し見通しが効くようになると姿を見せるのが・・・西穂高岳・・・ッ!
山頂に雲はかかっておらず、どうやら風もそこまで強くなさそう・・・
こんな好条件を逃す理由はない・・・ッ!
西穂山荘までの道のりはピンクテープが充実しています。
山荘までは登る人も多いのでトレースを間違える心配はないかと思います。
登山口から30分ほど歩いていると登りがきつくなってきます。
他の登山者さんと道を譲りあいながら少しずつ登っていきます。
体力的に一番きついのはこのあたり・・・
首がいたくなるような傾斜を登っていきます。
西穂山荘から先が本番なのに山荘着く前にヘロヘロになる・・・
キツイ登りを歩くこと約30分。
建物が・・・屋根が・・・見える?
ロープウェイを下りてから約1時間で西穂山荘に到着ですッ!!!
時刻はまだ10時半。
受付は13時以降からなのでとりあえず不要な荷物をデポさせて貰います。
西穂山荘より先はずっと稜線です。
身を隠す場所、風が防げる場所はないので耐風防寒装備はここで整えましょう。
最初はちょっと暑いけど我慢。
丸山手前からは風の通り道なのですぐにキンキンに冷やされますよ!
荷物を軽くし、靴とアイゼンを締め直し・・・いざ西穂高山頂へ向かいましょうッ!
思ってたより真顔な西穂くんの横を抜けていきます。
最初は小手調べと言わんばかりのちょっとした登りからスタート。
特に難所はないので自分のペースでゆったりと登ります。
その途中で西穂山荘側へ振り返った1枚。
焼岳と乗鞍岳が美しいですね!
この景色が見れたからもう満足・・・とならない辺りに登山者としての成長を感じます。
あくまで目指すのはこちらの西穂高山頂・・・
右の四角い峰が独標、真ん中がピラミッドピーク・・・そして一番左の峰が西穂高山頂・・・
噂には聞いていましたが本当にたくさんの峰を超えていかないといけない
ワクワクしてきますね(
まだしばらくは稜線歩きが続きます。
この辺りは登山者も多く時間がゆっくり流れてます。
誰かの魂魄かな?
名のある人が封神台へ送られたようです。
だいたいいろ達の心も落ち着いてます。
・・・いや落ち着いてないです(汗
気がついたら丸山を超えてました・・・
丸山を超えても難所らしい難所はないので緊張する必要ないのですけどね・・・
この辺りまでなら雪山初挑戦の人にも勧められるかな?
ピッケルなくても全然問題ないくらいの傾斜です。
西穂高山頂が少しずつ近づいてきました。
稜線ということもあり雪が薄くなっている部分があります。
アイゼンを引っかけて転ばないよう今から注意していきましょう。
独標超えた後で転ぶと命にかかわるので・・・
独標一個前の峰からが要注意ポイント。
一人しか通れない足場の登場です。
といっても右側には持ちやすい岩場があります。
そこを支点にして注意深く進んでいきましょう。
狭い足場を抜けた先には岩場の垂直降下。
高さは大したことないので少しずつ足場を下していけば問題ないです。
そして遂に・・・第一の難関たる独標直下に到着です。
下から見ると本当に垂直に見えます。
確かに急は急ですが千畳敷カールと同じくらいの角度。
ピッケルも全然刺さるので落ち着いて登れば大丈夫。
途中岩がむき出しになっている部分があります。
左手側の岩場でバランスを取りつつ登っていきます。
人が多いせいかこのあたりは浮石はあまりなかった印象です。
独標手前はほぼ垂直です。
アイゼンの前歯、ピッケルで三点支持を意識しながら登りますッ!
幸いなこと垂直の壁を登る時間は1分とか2分のごく短い時間です。
前と後ろに人がいる状況では慌ててしまうと思います。
滑り落ちる方が迷惑をかけてしまうのでゆっくり!確実に!登っていきましょうッ!
最初の難関を乗り越えたところで・・・独標に到着です
焼岳と乗鞍岳を見るなら独標がベストポジションかな。
ここだけでも十分に美しい景色が味わえますが・・・
本日の目標はこの先・・・
そう・・・ここから本番が始まります!
■ 次に独標を超える
ここ先は未知の領域。
以前登った時は山頂側の登山道を見て
おいおい・・・これどこ下りるんだよ・・・?
と足が竦んだことを思い出します。
快晴かつほぼ無風とかいう好条件で山頂を目指さないのは逆に失礼です。
やり切るよ! 無謀な挑戦リアライズ
いざ山頂へ!と足を踏み出します。
・・・いきなり急降下やね。
見た目の高度感はありますが雪の状態がいいのか正面を向いたまま下りることができました。
独標を超えてからいくつかもの峰を登って下ってを繰り返します。
また狭い尾根と岩場のコンビネーションも待っています。
踏み間違えたら死ぬ、という緊張感を常に持ちながら歩いていきます。
まず目指すべきはピラミッドピークッ!
アイゼンをつけたまま岩場を歩く場所が多いです。
9峰は急。他意はありません(
9峰からピラミッドピークまでの道のりは割と平坦です。
しっかりとマーキングされています。ちゃんと見ていけばルートを外すことはなさそう。
ということで独標から歩くこと約30分。
ちょっと急な登りを超えたら・・・
ピラミッドピークに到着ですッ!
うん。思ったより疲れてない。
これなら安心して先へ進めそう。
目指すはセンターに聳える西穂高岳山頂。
ピラミッドピークから先も細い尾根と急な斜面は健在です。
決して気は抜けません。
狭い足場が思い出したように出現します。
体感的にはメタルスライムくらいの頻度?
確かに足場の悪い場所が連続しますが不安定な場所には必ずいっていいほど掴むのにちょうどいい岩場があります。
ザックが弾かれて滑落しないよう注意は必要ですが、岩場と仲良くなってバランスを取りながら歩きましょう。
また少し山頂に近づきました。
画面左側にトレースが見えます・・・がその少し右は雪庇・・・ですかね。
乗ったら落ちるので可能な限り左によって通行します。
少し歩いたら見えてくるのがチャンピオンピーク・・・かな?
ここは左に巻いてパスします。
チャンピオンピークを超えると岩場の楽園みたいな場所に出ます。
露出した岩が多くアイゼンを引っかけやすいですが、逆に言うと急傾斜でもなく平坦な道なので意外と歩きやすいです。
その途中で振り返っての1枚。
チャンピオンピーク、ピラミッドピーク、さらに乗鞍岳まで見渡せる良ポジション。
ここで朝日か夕日を迎えたいなぁ・・・と思わせる場所です。
緊張が続く独標以降ですがちょっと気を落ち着けることができました。
先に待っているのは岩場のトラバース。
まだまだ気は抜けません。
山頂がまた少し近くなりました。
山頂ひとつ前の峰は巻きます。
人ひとり通れる分の足場しかありません・・・おお・・・こわ・・・
そして遂に核心部たる山頂直下の急登に到着・・・
すれ違ったお兄さんに雪の状況を聞いたところ
左側の直登部分もしっかり締まってて登りやすいし、右側の岩場部分も普通に歩けたよ
自分が登りやすいほうを現場で判断する感じです
とのこと・・・
雪がある程度乗っておりアイゼンでも問題なく歩行できそうなので岩場を選択。
岩場の上を慎重に足を進めること約5分・・・
西穂高山頂に到着ですッ!!!
■ トドメに山頂を踏む
無理だと言われてた
夢も今はここにある
のりこえてきたんだ
そんな言葉が胸をよぎります。
人生初の穂高が一生踏むことのないと思ってた西穂高・・・
さすがに達成感ありました。
先に何人かの方が登頂してました。
「おつかれ」「おめでとう」をみなさん暖かい声をかけてくれました
これはちょっと忘れられない思い出ですね・・・
落ち着いてきたところで山頂からの景色を味わいます。
山頂からの笠ヶ岳。
高低差のない稜線が非常に美しく歩きたい気持ちにはなります
気を持つなら誰にでも許されると思います(
歩いてきた稜線のまとめた1枚。
パっと見た感じではどこに登山道あるか分からないですね。
よく無事で辿り着けたな
上高地方面にある霞沢岳。
穂高や焼岳を眺望したいならあちらがベストかも。
山頂付近に小屋もあるみたいなので夏に挑戦してみたいです
奥穂高方面に寄った1枚。
手前が奥穂、奥が前穂・・・って書くとややこしい・・・
北穂方面に寄った1枚。
奥穂の肩越しに見えているのが北穂かな?
肩越しに見えるって響きはなんか恥ずかしい・・・
霞沢岳、乗鞍、焼岳、上高地をまとめた1枚。
上高地が谷中にあるのがよくわかりますね
前景を入れた笠ヶ岳。
奥穂と前穂を合わせた1枚。
さすがにこの先にはトレースはありませんでした。
乗鞍と焼岳に寄った1枚。
どちらも登ったことがない山・・・ 焼岳は難しそうな地形ですがその分登り甲斐がありそう。
どこから見ても分かる尖り方をしている槍ヶ岳。
槍ヶ岳へ通じる稜線。
どちらも魅力的ですがだいたいいろ程度の体力では無理そうで少し悔しいところです。
山頂を全方位で味わったので下山を始めますが・・・
まずは頂上直下のほぼ垂直の崖を下る必要があります。
アイゼンの刺さらない急な岩場よりこちらの方が安全と判断しました。
幸い他の登山者さんはいないため焦って下りる必要がありません。
油断せず、落ち着いて、三点支持を意識して少しずつ下りていきます。
さすがにここは背面向いて下りました。
登山日は雪質に恵まれており前面で降りられなかったのはここと独標直下の二箇所だけ。
山頂直下の崖を下りて一息つきます。
滑落事故の多くは下山時に起きると聞いたことがあります・・・
が!
西穂高の醍醐味は下り。
ずっと焼岳と乗鞍岳の絶景を見ながら下ることができます
どこをどう切り取っても絶景なんですよねー。
でもこんな足場を超えたり・・・
こんな稜線を上り下りしないといけないんだよなー・・・
行きは楽な気持ちで登れた部分も下りだと高度感があって怖くなります。
滑ったら「痛い」では済まないだろうな・・・思えばすごいところに来たもんだ・・・
チャンピオンピークかな?
登ってる時は必死で気がつきませんでしたが本当に細かい登り下りがたくさんあります。
ひとつひとつが危険個所。下りだからといって油断できません。
チャンピオンピークを下った直後の1枚。
ピラミッドピークまで続く稜線、その先に見える乗鞍岳。
パチッとハマる感じがする場所です。
まだまだ油断できない足場が続きます。
ピラミッドピーク手前での1枚。
乗鞍岳まで続くような稜線。地続きになる構図ばかり撮ってる気がする。
ピラミッドピークまで戻ってきました。
ここで朝日を迎えたいな。
残る難関は独標への登りと独標からの下り。
岩場と雪のミックス地帯も後少しッ!
独標と霞沢岳。
独標の上に人がいることで霞沢岳がより大きく見えますね。
こちらは焼岳側。
少し日が陰る時間。怖かったけど楽しかった登山が終わるような感覚を受けて少し寂しくなります。
最後まで油断せずが今日のテーマです。
残る二つの難所、まずは独標への登り返し!
見た目は急ですがちょうどいい感じのところに岩があり手を使った3点支持がやりやすかったです。
5分も掛からずに独標を登り切り、そのまま焼岳側に下ります。
見た目も急ですが実際下りてみても急です(
背面向いて下りるのは最初だけです。写真中央の登山者さんがいるあたりから正面向いて下りられます。
そんなに長くないので落ち着いて下りれば大丈夫ッ!
独標を下りてしまえばもう難所はありません。
少しオレンジ色に染まった緩やかな稜線を歩き山荘へ向かいましょう。
独標から30分ほどで丸山を通過。
ただいい景色を見ながら登山するの楽しいなー
丸山から10分ほどで西穂山荘に到着。
手も足もある状態で戻ってくることができ一安心。
もうやることがないのでゆったりとしているとお夕飯の時間がやってきます。
西穂山荘のオーナーさんが気象予報士らしくお夕飯の時間に翌日の天気について解説してくれました。
早々に雲が上がってくる予報とのこと・・・今日登っておいてよかった・・・
疲れてたこともあり山荘前で星をさっくり撮影して本日の営業は終了。
翌朝は御覧のありさま・・・
天気がよければ丸山か独標まで行って朝日を待とうと思いましたが、さすがにその気もおきず・・・
そのままロープウェイの駅まで戻り、五体満足で・・・!足がある状態で・・・!下山することができました!
■ さいごに・・・
今回は雪質に恵まれ「残雪期の西穂高」としては比較的低難易度であったことは間違いありません。
登れたではなく登らせて貰えたが正しいとさえ思っています。
独標直下を始めとしてピッケルがないと絶対に取り付けない坂
チャンピオンピークを過ぎたあたりにあるアイゼンワークを間違えられない岩場
風が吹いただけで落ちそうになる稜線
など危険個所はたくさんありました。
でも落ち着いて登れば大丈夫。
ピッケルの使い方・アイゼンでの確実な歩行が出来れば登れます。
厳冬期の赤岳と木曽駒ヶ岳に登れれば十分に挑戦できると思います。
山頂では北アルプスの真ん中に放り出されたような開放感が待っています。
北穂・奥穂のスケールの大きさには驚かされました・・・
そんな景色が待っていた西穂高で雪山の総決算が出来た気がします。